omi 芸大美術館へ行く


2004年10月


27日、木曜日。上野の芸大美術館で開催されている、興福寺国宝展に行った。

誘ってくれたWは彼女の長女と我が家の次男つながりだ。
今回どこに行くかを決める時、彼女はすぐに5ケ所ぐらいの候補をあげた。
なんでそんなに行きたい所がどんどんすぐに言えるんだ!!
銀座のエステなんてのも候補にのぼっていた。彼女はなんでも無料券を持っていたようだ。マッサージだったらいいけど(ばばくさいか)エステは私にとっては宇宙のはてのような存在だ。
W、マッサージの時は誘ってね。

金曜日の朝、上野駅の公園口で待ち合わせる。この頃、よく秋葉原に行くので途中まではちょっと通いなれた道だ。
上野駅の公園口はものすごい人だった。(因に夕方の新宿駅南口ほどではありませんーあの混み方はちょっとおかしい)ほとんどすべての人が上野のどこかの美術館か博物館に行く人と思って間違いない。

小学生の団体も改札口からでてくる。若い女の先生が前の子の先導と後ろの子の誘導をひとりでおこなっている。
「えっ?この小学校はこれだけの人数をこの先生ひとりで引率しているのだろうか?」
てきぱきと動く先生の指導で黄色い帽子の子は1列になり前の子に続く。そしてそのずっと後から年輩の男の先生がゆっくりと来た。
「誘導して、誘導を」
と私は心で叫ぶ。
ひとりの男の子が前の子をまったく見ずに
「あそこが動物園かなあ」
と言って、外に飛び出そうとした。思わず私は言った。
「向こうにいくんじゃないの」
どこにでもこんな子はいるんだ、となんとなく安心する。

Wは改札口からではなく駅の前の坂を下からのぼってきた。京成線できたとのこと。ものすごい人の中を歩き出す。この日は今月一番のいい天気になった。外を歩いていても気持ちがいい。修学旅行らしい生徒もいる。

Wとは昨日も会ったぐらいのペースで話しがはずむ。Mちゃんのニュースも聞く。Mちゃんもomi家の次男Tも来年は高校3年だ。母達はそれなりに心配している。でも話しを聞いてて思った。
W家の悩みが富士山だったら、omi家の悩みは銀河系の彼方だと。

W、おたくの悩みって我が家では空気のようなものなんだよ。

東京都美術館を抜けると、芸大が見える。そこの一画に東京芸術大学 大学美術館はある。芸大のまわりはが多くとても素敵だ。旧奏楽堂などの建造物もいい。やはり芸術を勉強する若者にはこのくらいの環境が必要かな。

芸大美術館のチケットブースに行こうとすると、Wが手招きをする。
「チケットはあるのよ」
Wはチケットを2枚だす。
えっ? 
ひょっとするとチケットがあるから、Wはここを候補にいれたのか?
「新聞やのおねえさんにもらったの」
「うちの新聞やはここのチケットもってなかったよ」
因にWと我が家は同じ新聞をとっている。
「新聞って引き落としにしてくれってよく言われるんだけど、こういうチケットを持っているから、引き落としにできないのよね」
私と同じ考えの人がいた。そして
「うちの方はおにいさんじゃなくっておねえさんなのよ」
とさらに詳しく説明がはいった。
私もここのチケットをもっていたおねえさん感謝する。

会場にはほとんど開館と同時にはいったのだが、それでも混んでいる。
奈良県にある興福寺は2010年に創建1300年になるそうだ。その記念の年に向けてのイベントのひとつとして今回、国宝展が開かれているのである。

まず、地下にある2つの展示場。
絵巻や絵画、書が中心として展示されていた。鎌倉時代といえば、800年も昔だ。それがよくこのように保存されていたとまず思う。当時、絵に色をつけることは大変だったろうが、見事にが残っている。
絵巻を見ると楽しい。
物語りが書かれ、それに絵がつけられている。現在のように誰もが文を書いたり絵を描くことができる時代ではない。よほど才能があった人の特権だったのだろう。絵巻は繊細で見事だった。そしてその絵巻をみていて、これって現在のブログに通じているんではないかなと思った。文を書いて写真を載せて、人間ってやることは時代を越え
ても同じなのだなと思う。

書の中におもしろいものをWが発見した。楽譜だ。はじめてみた。それは縦書きにひとつひとつの音と思われる記号が書かれていた。日本にもこんな昔に楽譜があったんだ。はじめて知る。

他にはじめて知ったことといえば、なんと印刷の原形ともいえる木版画があったことだ。字がいっぱい彫られていて、表面は黒くなっている。こういうものが日本にあったんだ。
ちょっと嬉しくなる。

すごいと思ったこと

?
 

上の階の2つの展示場には仏像が飾られている。迫力があったのが、国宝の金剛力士像。このページの一番最初のパンフレットに載せられているものだ。
体といい、表情といいものすごい。
後ろにいた人が話していた。
「ヘラクレス像に似ているわね。」
そうなんだ。ちょっとまわりに耳を向けるとみんなものすごくよく知っている。ほらほら、ここの馬がとか、フィレンチェで見た何とかが、とか絶対に専門家ではないような人が話している。

美術愛好者って多いんだな。

ひとつの仏像に彫られていた手相が私と似ていたんだ。そしてその仏像の形相がものすごかった。思わず私もあんな顔で人を睨んでいるんじゃないかって思ってしまった。

これからもしも興福寺国宝展へ行く方がいらしたら、(時間的に無理かー11月3日までです)この上の階の入り口にある、世背菩薩立像無著菩薩立像中間に立ってみてください。
2体の菩薩に両方からじっと見られているような気がして、そのままずっといると引き込まれていきそうです。
2体の菩薩に見られているというのはものすごい迫力なのだと思いました。この2つの菩薩像は運慶の作品です。

(この日の夜中の教育テレビで仏像の見分けかたを放送していた。これを事前にみておけばもっとおもしろく見られたかもしれない。残念!)

館内は薄暗く目が疲れた。ここで気付いた。私は随分と目が悪くなっている!

外にでる。この美術館の目の前に芸大図書館がある。ここのトイレを借りた。美術館が混んでいる時はこの図書館のトイレはすいていていい。館内は一般の人も利用できるようだ。ただ貸し出しはできないと掲示してあった。芸大図書館の掲示板に書かれていた。
オレオレ詐欺に気をつけましょう」
Wにオレオレ詐欺って学閥できているんだと思うんだけど、っていったら
「そうだよ。医学部が多いらしいよ」
とこともなく言ってくれた。そうだな、医学部や芸大だったらなんとなく家柄もいいし裕福そうだな。もしomiのとこに電話がかかってきたら言ってやろう
「うちは芸大でも医学部でもありません」

美術館から言問通りの方に抜ける道にフランス料理屋があったのではいる。ここはネットで見つけておいたのだ。味はよかったのだが、店が混んでいて今ひとつだった。ただわかったのは上野公園の近くでは食事をする所がないと思っていたのだが、根津谷中の方に行くとレストランを見つけることができる。

Wとこの付近を散策することにした。
少し歩くと見たことがある道に来た。
絶対にここに来たことがある。そして谷中墓地が見えた時に思い出した。長男の学校の父母会の前にこのあたりをOとぶらぶら歩いたことがある。父母会の前の景気付けか自己励ましか、あちこちOと歩きまわるのが長男の父母会の前の習わしだった。

そしてOに教えてもらった和菓子やに寄る。キ久月(このキのところが七が3つ並べてある字でパソコンででない。)この和菓子やは金柑のおかしがおいしい。しかしこの日は金柑のおかしがなかった。季節がちょっとだけまだ早かったのかもしれない。残念だ。

しかし思わぬところにでてきたなあ。この付近は和菓子やも多いし、町全体がomiがすんでいる所とは雰囲気が違う。情緒があるのだ。どのように進んだかわからないが、ぐるっとまわったようである。そして再び日暮里方面に向う。

谷中墓地にさしかかった所でフランス菓子という看板を見つけた。
Wが飛び上がった。
「あっここにあったんだ」

フランス菓子、パティシエ イナムラ シュウゾウ

Wはグルメの番組でここのおかしやさんを見たことがあるという。(なんという記憶力)看板に従ってUターンをしてお菓子やを探す。上野桜木2丁目19の番地を探しながら、住宅地を歩く。こんなところにお菓子やがあるのだろうか。17、18ときて19になった。前に並木道が見える。その並木道にでると素敵なお店があらわれた。ちゃんとドアマンもいる。ここのフランス菓子のお店の御主人はいろいろな賞をとっている方だという。お店に賞状やメダルが飾られていた。いちごのショートケーキ、チョコレートケーキ、などおいしそうなケーキがずらっと並んでいる。おもいがけずお土産ができてしまった。お店の奥の方が工房になっていてケーキがつくられている。
Wが聞いた。
「あの帽子をかぶっていない方が御主人ですか?」
店員さんがそうだと言う。
「え、どれどれ」
私は思わず悪い目を最大限有効にして奥を眺める。突然、Wが言った。
「ほらほら、あんまり見ていないでお菓子受け取って。」
すると店員さんが私の注文したケーキの箱を私の方にだしていた。
なにか見入ってしまったけど、御主人のがよく見えなかったなあ。
パティシェ イナムラ シュウゾウ
www.inamura.jp
ここはテイクアウトのお菓子だけで中で食べることはできなかった。

鴬谷にでようとしたが、ちょっとお茶を飲んでいこうとコーヒーショップを探していたら上野の方にでてしまった。そこで文化会館のコーヒーショップでお茶を飲むことにする。映画の話し、コンサートの話しとなぜ話題がどんどん飛んでしまうのか。
私は途中いった。
「話題が飛ぶんだけど」
「話しが飛んじゃうんだけど」
「違う話しになるんだけど」
でもこれが平気だっていうのがさすがにWだね。

美術館に行き、散策をし、しゃべった。
おばさんのパターンが盛り込まれている行動かな。
でも楽しかったな。
W、また新聞やのおねえさんにチケットもらったら誘ってね。



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