今週のomi家 omi、オットと出かける。 |
2004年10月 |
10月の連休の月曜日。オットと茨城まで行かなければならなくなった。オットとでかけるのはなるべくさけたいと常々思っているが、そうはいかない時もある。はっきりいうとオットと出かけるのは息子達と出かけるよりも疲れる。しかし今回は親戚の法事だ。 連休の2日目。出かける前日(まるで合戦にでかけるようだ)とりあえず連絡役になっているオットに次ぎの日の朝、何時に家を出るか尋ねる。オットは9時に家をでれば大丈夫だという。今までの経験からこのような数字が正しかったことは一度もない。そこでさらに詳しく聞く。すると私の不安が適中した。10時半に現地で待ち合わせているらしいのだ。現地まで行くのには上野から常磐線に乗るという。家から最寄り駅まで走っていって、乗り換えもすべて走って行くという計算をしても1時間半はちょっときつい。どうしたらこのような時間の計算になるかといつも思うのだが、オットはだいたいどこかの時間を省いて計算している。一応私はひとこと言った。 「1時間半じゃきついんじゃない」 すべてオットのせいにしてしまえばいいんだが、法事となると相手もいることだし迷惑もかかる。ここで時間の修正がインプットされた。 この時に時間のチェックだけでなく、路線のチェックもきちんとすればよかったが、手元のパソコンが壊れていたためにそれを怠った。そこが今回の最初のミスだった。常磐線=上野という昔ながらの図式は今ではもうあてはまらない。そこに気付かないのがもうすぐ老夫婦になろうとしている私達の(いや細かくいえば、考えているのは私だけなんだが)悲哀ともいうものだと後に感じた。 法事の当日、私は朝から洗濯、アイロンかけと忙しい。オットはもうすぐ現地集合2時間前という時になってやっと起きた。もちろんゆっくり食事をする暇はない。しかも寝ていた布団もそのままだ。ここで私は最初にきれた。 「なんで布団をたたまない?」 「まったく時間がないのになぜそういうことを言うのかな!」 このようなせりふをどこかで聞いた。そうだ、息子達だ。そう思うとまた腹がたつ。なんで早く起きないかっていうのがその前の問題だろうが。 オットが起きて何分もしないうちにでかけることになった。ドアをあけると雨が降っていそうだ。天気予報では昼間は晴れるといっていたが、今、雨が降っているならば傘が必要だ。先に玄関をでたオットに聞いた。これが2回目のミスだった。 「雨降っている?」 「降ってないみたいだなあ」 マンションの高層階(でもないかー香港の時の32階のことを考えると高層階ではない)にいると、ぱっと見た感じで雨が降っているかどうかは判断つきにくい。下を見て傘をさしている人がいるかどうか、道がぬれているかどうかということを必ずチェックしなければならない。これは長年住んでいれば自然とわかることなのである。 マンションの下におりた。そこで本当にオットに天気を聞いた自分が悪かったと思った。外は見事に雨は降っていたのだ。 「雨降ってるじゃない」 私は責める。でもそのくらいのことではオットは動じない。 「上にいる時は降ってなかった」 うちのマンションは何階だてかわからないが、たとえ60階のサンシャインだって1階に降りてくるまでにそう時間はかからない。それなのに平気でこのように言うオットに本当に腹がたつ。 駅までタクシーに乗らなければ遅れてしまうって考えているのはもちろん私ひとりだ。傘をとりに行く時間的余裕はない。私は急ぐ。ふと後ろから歩いてくるオットを見るとビニール傘をさしている。 「えっ?その傘どうしたの?」 「そこのごみ箱にすててあった」 もういいかげんにしてほしい。omi家を読んでいていただいてる方はすでに御存じだが、オットは若くはない。若くないどころかもうすぐ老齢のいきに達する。そんな年になっているのに、法事にいく時に一時的にしろ拾った傘をさすなんて、どう考えても普通ではない。だから一緒に行くのはいやなんだ。 傘をあきらめさせてすぐにタクシーに乗る。今度は反対に聞かれる。 「どこまでタクシーに乗るの?」 「少なくても茨城までじゃありません」 乗って5分とはかからない最寄りの駅でタクシーをおりた。オットはタクシーを使うことが平気だ。少々お金がなくってもタクシーに乗る。こういう態度が私は許せない。昔は成田空港まで行くのもひとりであろうと必ずタクシーを使っていた。 この最寄り駅で少し頭を働かせてどのように行けば安く目的地までいけるか考えればよかったが、 「本日一日乗車券500円」 という看板を見てしまった。この『一日乗車券500円』というのに私はとても弱い。私がもっているカードをオットに渡し、自分はこの券を買った。私は500円に目がくらみ、オットにほとんど使っていないこのカードをあげてしまったのだ。 歩く時は私はどんどん前にすすむ。オットはのんびり歩く。時々振り返るとオットはいなくなっている。そこで探すとかなり離れた所でたばこを吸っていたり、売店で新聞を買っていたりする。まるで幼稚園の引率のようだ。 駅の階段をくだって始発の電車に乗る。さっさと座った私の前をゆっくりとオットは通り過ぎていく。私の隣はあいている。なぜ横に座らないんだ。しかたないからオットの後をついていく。するとすぐ隣の列の隅の方に腰をおろした。 「なぜ横にすわらないの?」 「隅の方が好きなんだ」 オットは私よりも隅を選んだ。 途中駅でJRに乗り換える。この切符の購入の仕方はオットは異様にはやかった。ゲームとかにでてもトロフィーがとれるかもしれない。私が駅の地図で常磐線をさがしている間にオットはもう切符を手にしていた。 しかしそれは一枚しか買ってない。 なぜ一緒の所に行くのに自分の分しか買わないのか!! JRは休日なのでそこそこ混んでいる。乗るとひとつだけ席があいていた。オットはそこを指さしながら私にすすめるようにして自分が座った。「座って」っていってるんじゃないの?この行動も信じられなかった。一応私達は夫婦をやっているけど、オットは謎の人物だとまた思った。途中東京駅で席があいたので、私も座る。オットは相変わらず新聞を読み続けたままだ。いちいちチェックされないでいいといえばいいのかもしれないけど、なぜこんなに連れに関係なく行動できるか不思議だ。 上野で常磐線に乗り換える。常磐線はあまり使わない路線なので、乗り場も乗り方もよくわからない。しかしなんとかクリアーして取手行きの電車に乗り込んだ。ここではもう何もないだろう。電車に乗り換えるごとに「あれっ」と思わなくてはならないことの満載なのでは目的地に着くまでに疲労困ぱいである。 その時常磐線の路線図も見てはっと思った。なにも上野にいかなくっても人形町から北千住にでればよかったんじゃないのか。常磐線=上野と思っていたのが間違えだ。この時私は何回もオットに言った。 「地図があったら帰り道を選べるのに。」 と。 途中、オットは言った。 「時間があまってしまうなあ」 そんなはずはない。取手に到着する時間が待ち合わせの時間なのだ。目的地はさらにその先なのだ。そのことを言うと 「じゃあちょうどいいか。」 と言った。 そうじゃなくって待ち合わせの時間にまだその駅にはいないんだって。 そして電車が利根川をすぎるころにオットは事体の深刻さにようやくに気付いたようだ。 「時間ぎりぎりだなあ」 私はこの言葉には驚かない。心配したところで心配するのが私ひとりなのは過去の経験上よく知っている。しかも時間が足りないだろうという指摘はすでに一昼夜も前にされているのだ。遅れても私は知らないと思った。ただここまで思っているのは私ひとりで、オットもぎりぎりだと言っただけで後は何も考えていないようだ。 取手まで着くと電車をおり、その先まで行く電車を待つことになった。そこでオットは電話をいれる。 「今、取手にいるんだけど今度の電車に乗る」 誰に話しているかわからないが、本来なら取手を出発する時間が現地に着いていなければいけない時間だ。 電話が終わるとオットは言った。 「ちょうどいいみたいだ」 どうしてそうなるのかまったくわからないが、時間変更になったんだと私は無理に思った。そしてオットはホームの一番後ろにいき喫煙コーナーというところでのんびりとたばこを吸い出した。 本当にいつもこの調子で仕事をしているのだろうか。自分の夫ながら信じられないものがある。 目的地に着くとオットの姪が迎えに来てくれていた。この子は普通の感覚なのでたぶんいらいらしながら待っていたと思う。 「やあHちゃん。こんにちは」 オットは明るく言う。遅くなってというせりふはまったくない。姪も仕方ないので明るくふるまってくれているので、これ以上の追求はもういいわ。 法事は無事に終わった。ひとこと言わせてもらうとオットはおかしいけど、オットの親戚はごくごく普通の人たちだ。 今度はきた道を帰らなければならない。どうして行き帰りだけでこんなに書ける材料がでてくるのだろう。姪は取手まで車で送ってくれた。ここで今度は私はなんとか午前中に得た一日乗車券を有効に使って家に帰らなければという使命感にも似たものを持って切符売り場の地図を見る。オットは上野まで行きそこから新幹線に乗る。 取手始発の電車がもうホームにはいっているようで、オットはちょっと急いでいるようだ。オットが急ぐということは滅多にないので、何か急がなければならないのかとせっぱつまった感じになる。ぱっとみると北千住から日比谷線に乗り換えか千代田線に乗り換えかという2つの選択があるようだ。千代田線は相互のりいれなので若干大手町までの料金が安くなっている。日比谷線は大手町よりも100円安く北千住まで行きそこからまた料金を払って人形町に行かなければならないということが判断できた。すぐに私は千代田線を選んだ。オットはなぜ日比谷線にしないかと問う。いろいろ言うのも面倒だったが、言った。 「こっちの方が安いのよ」 「安いっていったって100円ぐらいだろう」 オットのこの安易な考え方もいやだ。何も考えないで成田空港までタクシーで行く人である。それは100円の違いはわからないだろう。とにかく北千住で別れられる。双方ここだけは同じことを思ったに違いない。 常磐線が都内に向って走る。途中の駅でとなりのホームにまったく車体の違う電車が停まっていた。『代々木上原』と書かれている。 「あれっ?あの電車なんだろう」 「千代田線だよ」 オットは当然のようにいう。 「北千住からでているんじゃないの?」 「いや。相互乗り入れしれいるはずだよ」 とおもむろに手帳をだした。ぱっと見るとそこには都内の路線地図が書かれている。 「ほらっ。相互乗り入れになっているじゃないか」 なんで地図を持っているの!! 朝から何度路線図を見たいといったことか!!! まさか夫がそれを持っていることも知らず、何度途中の駅や車内で路線図を探したか!!!!! それを今、当然のように 「ほらっ」 て見せられて呆然とした。まあ気持ちなんてなくってもいいのかもしれませんがかなり腹はたちましたね。 しかもオットは言ってくれた。 「次ぎの松戸で降りた方がいいんじゃない?」 言われなくてもそうします。とても北千住まで御同行する勇気はありません。オットは私の怒りに気付かないまま私を見送った。オットは今までもまったく何も感じずにこのようにきたのだなと思うとため息がでるし、またこういうことがあるだろうと想像するとため息がでた。書かなくってもわかると思うけど、松戸から家までは順調な旅でした。 |