omi デジタルカメラを購入する!!!
2004年10月

2004年10月29日、いつものように6時に起きて、お弁当を作りながら新聞を広げると、ビッグカメラの広告がはいっていた。なにげなく見る。ソニーサイバーショットが2万円をきっている。(きっているのはわずかなんですが)
これだな!!
と思ったけどそんなに楽にデジカメが手にはいるわけはない。お弁当を作りながら頭の中の回転がちょっと速くなる。
ここでデジカメを買うべきか。買わざるべきか。
このごろ友達からメールがくるたびにデジカメ、デジカメと騒ぎまくっている。こんなにデジカメが欲しくなったのはブログをやりはじめてからだ。
文明の利器、デジカメ。
みんなのアイドル、デジカメ。
お弁当はできあがった。が、デジカメは決まらない。

ビックカメラの本日の特売品にこの商品は含まれている。そして広告がはいった当日の朝、買うことを即決しなければならない。出だしが遅くなると限定10名の中にはいれない。よし、決めた。有楽町のビックカメラに行き、その時点で並んでいる人が多くってだめだったら、あきらめよう。
でもせっかく有楽町に行くのだから、もし合戦に敗れた場合は上野の中国国宝展にいく。
これは新聞やのおにいさんに招待券をいただいている。
要は買えても買えなくても、ただでは転ばないようにする。
この作戦は買えなくても有楽町に行ってしまったという無念な気持ちが消えるように設定されており、かなり用意周到なものと満足した。ところがこのように万全にすると必ず何か起こる。。。

次男が学校に行くとすぐに私もでかける用意をした。限定品をゲットするのにこのような時間にでても平気だろうか。ずっと前に川崎のヨドバシカメラのデジカメの売り出しがあった時は朝時に家をでて7時前についたのに長蛇の列で売り切れだった。いろいろ考えながら、まだちらしを見て1時間程しかたっていないのに、家をでた。前日に上野の芸大美術館に行っているので、JRの乗り換えも見なれた風景となってしまっている。乗り換え駅で配っていた11月からの電車の時刻表までもらってしまった。

有楽町でJRをおりると、通勤客が足早に会社に向っている。その中、私はビックカメラの売り出しの列はどこか探した。すでにカウンターがでており開店1時間半前なのに係りのおにいさんがいる。
「すみません。今日の売り出しのデジカメほしいんですけど、どこに並べばいいんですか?」
一瞬の沈黙がながれる。
「通りにそって裏側の方に並ぶようになってます。一時間ぐらい前になると係りの者がでてくると思います」
大変だ。裏に並んでいるんだ。急いで裏にまわる。なかなか列が見つからない。裏のシャッターが少しあいていて、制服姿の警備員のおにいさんがいる。
「すみません。」
とまた同じことを聞く。警備員のおにいさんはちょっと待っていてくださいと奥に行き、係りの人を呼んでくる。係りの人は丁寧にこちらです、と案内してくれた。JRの線路の反対側、オフィスビルが並ぶ通りにきて、
「こちらで並びます」
と言われた。
誰もいない。
「えっ?私が一番なんですか?」
「はい、すぐに係りの者がきますので。」
と言っている間に係りのおにいさんがやってきた。
「何をお求めですか?」
「デジカメです」
おにいさんはノートの記録をとる。そしてデジカメと書かれた小さなカードをくれた。
「申訳ありませんが、整理券はないので、このままここでお待ちいただくようになります。」
「えっ?やっぱり私が一番なんですか」
「はい」
誰にでも何度も同じことを聞く。だって私の頭の中の計算ではもうたくさんの人が並んでいて、今日、デジカメを購入できるかどうかわからなかったのだ。これから約一時間半、私は列の先頭で通勤客のまなざしをあびることになると考えた。はっきりいって、私は人から見られるっていうのがきらいなんだ。写真を撮るのは好きだけど撮られるのはかなり嫌いだ。それなのに一時間半も
「あっ、今日はあのおばさんが先頭だ」
なんて思われるのは愉快なことではない。しかしだからといってこのせっかくの一番をのがすわけにはいかない。一時間半後にはデジタルカメラが手にはいるのだ。

おにいさんに聞く。
「だいたいどのくらい前から並ぶべきだったんですか?」
おにいさんもはじめは、はっきりしたことを言わない。だって次ぎに私が並んでしまった時にその時間にきても品物がなかったなんてことになると責められるかもしれませんからね。でも私はおばさんだ。しつこく聞く。すると、
「平日の場合ですと、だいたい1時間前ぐらいに並び、30分前だと目玉商品はなくなってしまっています。」
なるほど。そのようなペースなんだ。
「ただ、休日はもっとはやくから並ぶことが多いです。一番混むのは祝日ですね。次が土曜日、日曜日、平日の順です」
なにか教科書ガイドのようにビックカメラガイドが欲しい。
そして思った。ひょっとしたらこのおにいさんは私が来てしまったのであわてて外に来たのではないか。いつも一時間前の計算なのに、今日は変なおばさんが来てしまってなにかいつもと違ってしまっているということになっているんじゃないか。

1時間前になっても誰もこない。誰もいないので並んでいることにならず、私も列の一番前の役目からのがれ、信号待ちの通勤客のひとりのような存在になっている。

おにいさんは時々、私に気をつかって声をかけてくれる。このおにいさんヤンキースの松井に似ていたんだけど、ものすごく感じがよかった。(名刺もらっておくんだった)日本にもちゃんとこのような若者がいるじゃない。そのかんじのいいおにいさんにおばさんはどんどん質問する。
まずはこれから購入しようとするデジカメのことからだ。
「デジカメの他に何を買わなくっちゃいけないんですか?」
私はこの超基本的なことを知らないままデジカメを購入しようとしている。たぶんおにいさんはえっと思っただろうが、表情にださず答えてくれた
メモリースティックというものが必要です」
「それっていくらするんですか?」
「メモリーの大きさによって違います」
なるほど。こんな当たり前のことも説明されるまでしらない。
「みんながよく買うものって幾らぐらいですか?」
さらに聞く。
「そうですね。5、6千円ぐらいからでしょうか」
むむむ。デジカメは2万円を切るのにメモリースティックが高いではないか。

開店まで一時間をすぎてしまっているのにまだ私ひとりだ。おにいさんがいう。
「少ないですね。こんなこと珍しいんですが」
「喜んでいいのか、喜んじゃいけないのかよくわからないわ」
もうちょっとまともな答えをすればいいのに、私はこんなことを口にしてしまった。
「ところで今日の目玉って、このデジカメなの?」
「そうですねえ。デジカメもそうですが、このDVDリコーダーは人気があると思います。」
と広告にのっている他の商品を指す。
「たぶん明日のこのテレビも人気があると思います。」
と明日のお買得品に載っている商品も教えてくれる。
「えっ?これってこんなに高いのに人気があるんですか?」
このテレビは30万円を越えている。
「はい、これは10万円ぐらい安くなっているんです」
なるほど。10万円安いというのはちょっとすごいかも。そこにはニコンの一眼レフのカメラが2万円をきってのっていた。
「これも安いですね。今、カメラってどんどんデジカメになっていっているんですか?」
「そんなことはありませんね。一眼レフを使っていらっしゃる方はやはり一眼レフにこだわっています。デジカメと一眼レフの2極化のようになっています。」
なるほど。現在の人気商品という講習会を受けている感じだ。そのように説明をしながらもこのおにいさんは通りがかりの人に道を聞かれる。
「読売ホールはどこですか?」
ほとんどの人がこういっていた。読売ホールで何かあるようだ。おにいさんはひとりひとりに丁寧に答える。丁寧かつ適切な答え方だ。
また余計なことを聞く。
「道の教え方みたいな講習会があるんですか?」
本当に見てて気持ちが言い応対をしているのこのように聞かれてもしかたないでしょ。でもおにいさんは答えに最初ちょっととまどった。そんなことを聞く客はない。でもまた丁寧に答えた。
「そういうことはないのですが、いつもやっておりますので」
自然にこういうことができるようになるんだったら本当にいいなあ。

おにいさんとの会話は楽しいが客はこない。
おにいさんは言った。
「こんなことはないんですが」
これが私に気を使う言葉か、本当にomiが来たというのでみんなが去っていってしまったからかはわからなかったが、ななななんんと10時開店の時に客は私のうしろにもうひとりしかいなかった。しかもその人はデジカメじゃなかった。このように決戦を迎える心境で挑んできた私はかなり調子が狂った。
本当に自分には勘がないなと改めて思った。
実は私はこのようなことは、はじめてではない。子供のパソコン教室の順番をとる時もみんなは時ごろに並びはじめたのに、私はひとりで時から並んだことがある。その時は一時間後の順番をとるという方がいらして、その方が来られる前に1時間とその方と2人でもう1時間を過ごした。この方も勘がなかったのかもしれないが、私は孫ではなくだ。この方の比ではない程、勘がないということだったんだ。そして今日もまたそのようなことがおこってしまった。どっかおかしいんじゃないかと思うことはちょっとつらいんだけど、とりあえずデジカメはすぐそこまできている。

開店の時間になった。
おにいさんはデジカメという記録をとらなくてもよかった。客は2人だ。このために私は1時間半も並んだ。開店と同時に係りの人が私ひとりのために地下2階のデジカメのコーナーまで案内してくれた。デジカメはすでに袋にいれられてそこに用意されていた。購入するにあたって、私はすぐに使えるようにしてほしいとたのんだ。これからまた上野に行って、ちょっと撮影をしようと思ったのだ。(決戦に勝ってもやはり上野には行くことにした)デジカメの係りのおにいさんはこの勘のずれたおばさんのためにカメラをすぐ使えるようにして使い方の説明をしてくれた。結構簡単だ。(最初の設定というのは係りの人にやってもらうのが一番なんだ)
omi デジカメ、ゲットです。

有楽町から上野に向うJRの中で私はこのデジカメを箱からだした。
これからはデジカメ生活よ!!
ふと顔をあげるとごそごそと箱からデジカメをだしている私の方に乗客の目が集中している。せっかく売り出しの列の一番前の大役からのがれることができたのに、JRのなかでそれを上回るような行動をしてしまった。
私は目立ちたく無いんだって!! 
結局、自分には勘だけでなくって何か欠けているものがあるなって、また思ってしまったデジカメ購入騒動になった。



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