再び韓国へ行くことになった!!

暮れもせまり大掃除やら買い物で忙しいはずのさなか、突然韓国に行くことになった。息子が試験休みが5日あるという。そして3日でいける韓国だったら一緒に行って(あげて)もいいということになったのだ。息子の試験が終わったその日、JTBに21日からの割安のツアーがあるか尋ねた。一週間前で絶対にあるはずないと思って尋ねたのだが、なんと席があいているツアーがあった。すぐその場で申し込む。忙しかったのでカード決済、書類は羽田渡しということにしてもらった。国内旅行と違うのは息子のパスポートのコピーを旅行社にファックスしたことぐらいだ。こんなに簡単にできていいの?と驚いた。今回は息子も一緒ということでホテルと飛行機がついているツアーだ。ホテル!!そうなんです。今回はCOEXインターコンチネンタルという江南にあるホテルに泊まれるのだ!!

行くことが決まってもとにかく仕事が忙しくって情報をなかなか見つけることができない。その中でロックミュージカルの地下鉄1号線とイムンセのコンサートがおこなわれていることだけはキャッチした。もちろん予約している暇はない。そこでネットの情報をプリントしてそれをガイドブックの代わりにすることにした。(結局このどちらも行かなかったのですが)

出発までのわずかな時間に一番頭をひねらせたのは月曜日から始まる冬ソナ完全版のビデオをどのようにとるかということ。それから昼間に放送されているパパと夜中に放送しているバリの出来事もどのようにビデオにおさめるかということだった。これはすべてご近所の方にご迷惑だったと思うのだが頼み込んだ。これで準備万端と思ったがひとつ大切なことを忘れていた。オットにソウルに行くという話しをしていなかったのだ。出発前日にあわてて言った。オットは「えっ」と言ったがそれだけだった。こういう時に我がオットは何も言わないのでいい。(褒める材料になるかどうかはわからないが)

出発前日まで何もしなかったが、夜になってあわててもっていくものをスーツケースにいれた。息子は荷物はなるべく少なくと最小限のものを自分でいれた。冬のソウルは寒いということでダウンジャケットをスーツケースにいれたが、これが結構はばをとってしまった。あとは小さくおりたためるボストンバッグと大きめの肩からさげられるバッグもいれておいた。

用意ができたところではじめて今回の旅行のパンフレットを読む。JTBのツアーで「ふらっとソウル」チャーター便で行く!羽田発着というのがツアーの名前らしい。ホテルは電話でCOEXと申し込んだがいろいろなホテルを選択できるのをこの時知る。今回最初からCOEXを選んだ理由は冬のソウルは寒いし雪が降ることもあるので、地下のモールがついているホテルが便利かと思ったからだ。あと江南の方には行ったことがなかったので見てみたかったという理由もある。パンフレットを見ると21日の出発というのは一番安い設定だ。この時になって「やったじゃない」と喜んだ。




羽田空港国際線ロビーは出発が近づくまで閑散としている。


羽田空港で

12月21日。羽田発10時30分の日本航空の便だ。2時間前に集合ということで時間に余裕をもって7時には家をでた。羽田は第一ターミナルと第二ターミナルに分かれたばかりだ。息子がテレビのニュースであまりにも広くて出発の時間に間に合わない人がたくさんいるらしいというのを見ていた。息子は
「あの人も間に合いません」
ってやっていたという。

「そりゃ大変だ。」
と思いこのようにはやい時間にでかけたのだ。羽田までは我が家からは比較的近い。京急蒲田までタクシーで行き、電車に乗り換える。タクシーはすぐつかまった。かなり順調に羽田に到着する。羽田の京急のホームは前方の第一ターミナルと後方の第二ターミナルに階段がわかれている。国際線は第二ターミナルのほうへ矢印が書かれている。第二ターミナルから羽田空港内を循環している無料のシャトルバスに乗る。

羽田空港の国際線は一日の便も少なく地方のローカルの空港よりもさらにこじんまりとしている。ここを見てどうして韓国の俳優が成田に行くのかわかったような気がした。ファンが大勢きてもここではそれだけのファンを収容するスペースがない。国際線ターミナルにはいると誰もいなかった。なんとあまりにも順調にきすぎて、2時間前どころか2時間40分前に着いてしまったのだ。はやく着いてもカウンターにも誰もいない。荷物を預けるところもないしお茶を飲むところも閉まっていた。しかたがないので息子と2人で椅子に座ってカウンターがあくのを待つ。

しばらくすると団体カウンターがひらいた。そこで旅行の書類を受け取り、搭乗手続きをする。その後、両替をして、あまりにも何もないところなので、またシャトルバスにのり第二ターミナルに向かう。ここはできたばかりなのでとてもきれいだ。名店街にキハチもはいっている。エスカレーターで上に行く途中、息子が言った。
「あっここだ。アナウンサーがあの人も間に合わないようです、って言ってたのは。」
韓国に着く前に羽田で新しいターミナルがテレビにでていたという場所を見つけ感動しなければならない。ショッピングモールの中の本屋にはいり時間をつぶす。ここの本屋の横にあるおみやげものやさんはおもしろかった。郵便物におすスタンプセットがあったので買う。こんなところでこういうものを買ってどうするのだ!!

かなり時間をつぶして国際線へ戻ると出国審査をうける列ができていた。その列に並ぶ。6月に香港に行った時は出国の検査がそれほどきびしいと思わなかったが、今回はこんなにきびしくなったのかと思わされた。息子はベルトでひっかかり、靴をぬぎスリッパにはきかえて防犯用のゲートを通った。さらにのみかけのミネラルウオーターも中のチェックをするために機械にかけられた。このようなことは今までなかったので、ハイジャック防止のための検査がすすんでいるのだなと思う。

中にはいってからまだ時間があったがとりあえず座っていた。ここには免税店もものすごく小さいがある。あとお菓子やもあってとらやの羊羹などはここで購入できる。買っている人もいた。おみやげがここで買えれば便利だ。


飛行機から見えた富士山


羽田発金浦行きJAL便大幅に遅れる

もうすぐ搭乗というときになってアナウンスがはいった。
「日本航空の便は機材の変更のために遅れます」
最初のこのアナウンスでは1時間ぐらいの遅れになったということだった。この時点でまわりがざわざわした。それは全員スーツを着たビジネスマンだった。みんな国際電話を携帯からかけている。全日空に乗り換える手続きをしている人もいるようだ。出張の人は午後からの会議などもあるだろうから1時間の遅れはかなり痛手だ。観光客の私だって飛行機が遅れたらその分ソウルでの時間のロスになるので、とにかくはやく飛んでほしい。そうこうしているうちに乗る予定だった飛行機は静かにゲートを離れていき、搭乗するはずのゲートには飛行機はなくなった。

1時間待ったところでさらにアナウンスがはいった。
「飛行機は12時の出発になります」
えっ?そんなに遅れるの???
後から出発予定の全日空は飛び立った。ため息をつきながら待つ乗客。息子はこの間ひたすら眠る。どこででも寝られて本当にうらやましい限りだ。私はソウルの観光案内の雑誌を売店で買った。それを見て時間をつぶす。雑誌はみんなに読みつくされてページが折れていたりしたが、それでもこの本を読んで少しソウルの情報をキャッチすることができるとプラス思考にならないといけないと無理に思った。

やっと出発になった。後ろに座っていたビジネスマンは今日の出張をとりやめたようだ。そりゃ2時間遅れだったらそういうこともあるでしょう。因みにこういう遅れというのは何の保障もないそうだ。(詳しくはブログのページへ)またアナウンスがはいる。いつもは若いきれいな声のおねえさんのアナウンスだが、今回は男の人が丁寧に遅れたことをわびていた。しかも笑っちゃったのは飛行機が変わったために座席の番号が同じではないので、早いもの勝ち、好きなもの順という飛行機座席にするというのだ。こんなのはじめてだわ。ビジネスクラスの人は座席が変わってしまうので差額を変換するというアナウンスもしていた。

すばやく並んだ私達は席がかわっても窓際をゲットできた。飛行機の中は海外に行くという華やかさはない。2時間遅れということで、客室乗務員は「申し訳ありません」を繰り返すし。みんなし〜〜んとしていて大丈夫かと思った。飛行機の座席の前のポケットには新しい機内誌が2冊も入れられている。きっとこの飛行機を使うということが決まった時点でかなりあわててこれが用意されたのだと思われる。

とにかく飛行機は離陸した。まもなく富士山が見える。本当だったら機長が左手に富士山が見えますなんてアナウンスするのかもしれないけど、機内のアナウンスは
「一番はやいスピードでソウルに向かいます」
ということだけだった。富士山は雪をかぶっておらず、雲の上にくっきりと浮かんでいた。お弁当が配られる。これは機内食なんだが、ランチボックスにはいったお弁当だ。はじめは飛行機がかわったので機内食を入れ替える時間がなかったのかと思ったが、帰りの飛行機もこのランチボックスだった。ランチボックスの中におつまみもはいっていて、食事の時に飲み物も一緒に配られる。息子はお昼をすぎてしまってお腹がすいているようで、このランチボックスでは量が十分ではなかった。

お昼ご飯を食べるとまもなく「ソウルの現在の気温は零度」というアナウンスがあり、その後、金浦空港に到着した。



JAL便の機内食のお弁当

金浦空港からホテルへ

金浦空港はインチョンに比べるとかなりローカルっぽい。それでも羽田の国際線ターミナルよりはいい。到着するとすぐにロッテの看板が目につく。もちろんヨン様の写真だ。この写真を撮りたかったのだが、空港内は写真撮影は禁止ということだったので、一応やめておいた。(このぐらいは平気だと思うのだが、機内でも空港の写真はとらないようにというアナウンスがあった)

到着のゲートをでる前に両替の窓口があった。ネットで両替のことを調べたのだが、ここに両替の窓口があることは書かれていなかった。たぶんガイドブックも含めて金浦空港の両替は2階でと書かれてあると思うが、インチョンと同じで、外に出る前に両替することができるようになっている。ここで10万ウオンのチャギアップスッピョ(小切手)を作っておいた。どんな時でもそうなんだが、私のハングルはなかなか通じない。
「チャギアップスッピョジュセヨ」
と言ったら、一瞬、間があいて
「ああ、スッピョですね」
と日本語で言われた。

外にでるとJTBの現地のガイドさんが案内板を持って待っていてくれた。なかなか感じのいい女性のガイドさんだ。ここに来るまで同じツアーの方がもう2組いらっしゃることを知らなかったが、計6人のツアーということになっているらしい。1組の方は私よりちょっと若い年配組みの女性2人で、もう一組は若い女性組2人だった。息子はその中で肩身が狭そうだった。。。ミニバンに乗ってホテルに向かう。外の空気はピーンを張り詰めたようにつめたい。ソウルの冬ってこんなに寒いのだ。息子ははじめてくる都市の寒さを何回も白い息をだして確かめていた。ガイドさんは到着時間の変更が何度もあって、今日はもう来ないのかと思っていたと言っていた。




漢江。遠くにソウルタワーが見える。

金浦空港から道幅の広い道を漢江にそって三成(サムスン)にあるCOEXインターコンチネンタルホテルに向かう。途中ヨイドの横を通りいくつもの漢江にかかっている橋を左手に見ながらバスは走る。ガイドさんが尋ねる。
「omi様はソウルでどんなことをしたいですか?」
「息子は焼肉を食べたいといってます。私は韓国のドラマのCD,VCD,DVDがほしいんです」
私はこれ以上、正当な答えはないと思っていたが、あとの方の答えを聞くとちょっと違っているのかもしれないと思った。年配カップルの方は「買い物」若者カップルの方も「買い物と食事」と答えたからだ。特に年配カップルの方は免税店のことを聞いていた。なるほどこのような目的で韓国に来る旅行者もいるのだと、自分の正当性がかなりくずれていくのを感じてしまった。そういえばひとりで旅行するときは何も違和感がなかったこの買い物袋の旅行スタイルもちょっとおかしいかもしれない。買い物袋の中にはカメラバッグやデジカメやフィルム10本がはいっている。

女性が5人もいるのだから、もちろんドラマの話にもなっていく。
「韓国で人気のある俳優は誰ですか?」
「アンジェウクさんです」
やったじゃない!!我がアンジェウク氏はやっぱ人気があるのね。
「リュウシウオンさんやペヨンジュンさんが日本では人気があるでしょ。でもアンジェウクさんは中国で人気があるんです」
なるほど。やはり韓国で見る見方というものはあるんだなと思った。
「日本の方が冬のソナタのことをよく言うので私もまたビデオを見ました。ビデオを見て日本の方がいいとおっしゃるのがわかりました。」
ということはやはりうわさどうり韓国では冬ソナはそれほど人気ではなかったんだな。でもそうやって勉強しているガイドさんはすごいなと思った。

道はすでに夕方の渋滞にはいっており、かなりの交通量だ。白菜をのせたトラックが隣を走る。とうとうでてしまった。
「写真とっていいですか?」
ガイドさんはどうぞどうぞと言ってくれたので、ばしばし写真を撮りはじめる。今回の旅行の契約で息子はどんな時でも写真を撮っても文句を言わないことになっている。東京のまちなかでデジカメをだすと息子はかなり怒る。でも韓国ではしかたないと思っているらしい。カメラをだしている間に白菜のトラックは前に行ってしまった。冬のソウルで白菜のトラック!これって「本当にソウル」って写真になったはずなのに残念だった。

ミュージカル「地下鉄一号線」のチケットが劇場で直接手にはいるかどうかを尋ねたがガイドさんはそのミュージカルを知らなかった。そのかわりポケットサイズの地下鉄の路線図をくれた。これが旅行中大活躍をした。ガイドさんはチケットがすぐはいるかどうかホテルのフロントで聞いてくれて、あとで部屋まで電話してきてくれた。ミュージカルのチケットはすぐに手にはいるようだ。しかしこの寒さの中、地下鉄で1時間ぐらいかけてミュージカルを見に行けるだろうか。(結局omi親子はソウルの寒さに負けました)

韓国でホテルに泊まるのは初めてなので、ホテルの部屋のチップをおくのかどうかを訪ねる。ガイドさんはどちらでもいいです、もし気持ちがあれば1000ウオンをおいてくれれば十分ですと教えてくれた。



COEXインターコンチネンタルホテル

ミニバンはCOEXと書かれた標識のところで右折した。まもなく大きなビル郡が見えてくる。ホテルにはいる直前に大きなお寺があった。ガイドさんがこのお寺は古いお寺なので時間があったら見に行かれるといいですよとアドバイスしてくれた。ホテルはものすごくランクの上の部類ではないけどインターコンチネンタルのグループのホテルだ。息子が言うにはドアマンの赤いジャケットを着ていた女の人がかっこよかったということだ。荷物を持ってフロントに行く。ガイドさんが部屋の鍵を渡してくれた。一応JTBにはなるべく上層階にしてほしいというリクエストをいれておいた。私たちの部屋は1071号室。10階だ。たしか11階からはビジネスの階になるので、精一杯サービスしてくれたことになる。部屋にはいるとちょうど日が沈むところで飛行機雲が見えてきれいだった。息子は外の眺めにしばし感激したようである。私だって韓国にきてこのようにきれいな部屋で夕焼けを眺めるというのはこれが最初で最後かもしれないので多いに感激した。

COEXホテルの部屋はごくごく一般のホテルだ。しかしお風呂場はシャワールームが別にあって少し広めだ。息子はここで歯ブラシのないのに気づく。そうだそうだ。韓国では政府の方針で使い捨ての歯ブラシはついていないのだった。あとで歯ブラシを買わなければならない。



COEXホテル室内。バスルームの左手にはシャワールームがついている

カルビを食べる

部屋の写真をとり夕焼けをみると息子はさっそく言った。
「肉が食いたい」
機内食は少なかったし、もう5時をまわっている。このあたりでカルビを食べられるところをフロントで聞く。全部英語で聞いた。
「このあたりでカルビが食べられるレストランありますか」
「そこを出て道路を渡るとすぐのところにあります。ブルーのネオンがついているのですぐにわかります」
「値段は高いですか?」
「いいえそこそこです」
「レストランの名前書いてもらえますか?」
「スグンです」
とこんな感じだったかな。

ホテルの玄関をでたところの信号を渡ると本当にすぐのところに庶民的なレストランがあった。どこでもすぐにはいってしまう母に息子はちょっととまどっている。お店はまだ6時前だったのですいていた。
「オソオシプオ。」
お座りくださいって言ってくれたのがわかったんだが、なんて言ったのか忘れてしまった。靴を脱いで座れるお座敷タイプの場所と椅子のところがあった。息子はここでくつろいでもと思ったのか椅子のほうを選んだ。メニューを見せてもらう。なななんと日本語のメニューもあった。カルビ1人前、20000ウオン。まあそこそこか。
「カルビイインブンジュセヨ」(カルビ2人前ください)
発音に自信がもてないので指でピースマークをつくり二人分と強調した。私も実は韓国でカルビを食べるのは初めてだ。なんていったって屋台専門のomiだ。ひとりの時はなかなかカルビも食べられないけどこういう時、2人っていいなと思う。(息子はそのために借り出されたのか)

肉を焼く用意がされておかずがでてくる。韓国の料理は何かを頼むといろいろなおかずがついてきて豪華だ。それに息子は驚いた。
「これって別料金?」
「心配するな。全部含まれている」
まわりの方が日本語ができなくってよかった。息子はコーラを飲みたいという。
「自分でいいなさい。コーラプッタカムニダといえばいい。(本当か?)」
息子はしかたがないからそのとおり言ってコーラを頼んだ。しかしプッタカムニダのところはお店の人は聞いていたかどうか。息子がどきまぎと言っている途中で
「アー、コーラ」
と、言って理解してくれたからだ。

お肉がどんとでてきてお店の人が焼いてくれる。どんどん焼けるお肉。どんどん食べる息子。
「ご飯がほしい」
そういえば白いご飯がでてきてない。ご飯ってなんて言うんだっけ。パクかパンかだったような気がする。そういえばなんのガイドブックももたないで、お店にきてしまった。しょうがない、なんでもいいから言ってとにかくご飯もらおう。
「パンジュセヨ」
お店の人がわからないという顔をした。私は必死に言った。
「ライス。ホワイトライス」
「アーパップ」
わかってもらえた。ふたつきの器にもられたご飯がでてくる。よかった。

このご飯は韓国ではスプーンで食べる。息子に教えた。ご飯はスプーンで器はもってはいけない。しかし人間の習慣というものは恐ろしいものでこれがなかなかむずかしい。息子は最後にはご飯をおはしで食べたいと言ってた。店はすいているので、従業員の会話も聞こえる。聞こえるっていってもハングルだからわからないのだが、
「ライス、ライス」
と言っていたのでたぶん私たちのことを話しているはずだ。たぶんこういっていたのだと思う。
「ライス、ライスっていってもよくわからないよね。この親子何者か?」
息子はカウンターが見える位置に座った。お店の人が時々こちらを見ているらしい。
「見られながら食べるの、かなりプレッシャーなんだけど」
「そんなことを気にしていてはよその国で生きていけない。だいたいここの料理をちゃんと食べてくれるかどうかはお店の人は気にするはずだよ」

私は韓国の辛い料理は実はあまり得意ではない。辛いおかずに辛いスープがどうしてつくのだろうと思う。韓国人の友達のMは反対にどうして日本では甘い卵焼きがおかずになるんだろうと言っていた。そういう食生活の違いってあるのだが、息子はこの辛いスープがおいしいと言っていた。キムチも好きだし、韓国の味があっているのかもしれない。それに肉をぱくぱく食べている。そりゃお店の人も突然はいってきた親子がこれだけばくばく食べればこちらを見もするわと思った。私はつけあわせのサラダが香辛料がきいていておいしかった。最後にカルビの骨の部分がやけた。お店のアジュンマがジェスチャーで息子にこれはしゃぶりなさいと言ってくれた。息子はそのようにして最後の骨の部分までカルビを味わうことができた。短時間に出されたものすべてを食べつくしたおそるべきomi親子。日本人がみんなこんなだと思わないでください。料金はカルビ2人分で4万ウオンそれにコーラが3千ウオンだった。



ブルーのネオンが目印のスグン。
下は注文したカルビ。

地下のショッピングモール

空港についた時にすでに零度だったので、この時間はもうマイナス何度かまで下がっているはずだ。すぐにホテルに戻る。ホテルの外も中もクリスマスのイルミネーションがきれいだ。とくに中の大きなクリスマスツリーはホテルならのものだ。

ここのホテルの下には大きなショッピングモールがある。そこに向かう。地下街は暖かくて快適だ。ホテルの地下街の出口のところにおみやげ物やがあったので、はいってみる。ありました!!イビョンホンとリュウシウオンのブロマイドが。10枚ぐらい買ってしまった。もっといろいろな俳優のブロマイドがあったらうれしかったのだが、なんでなかったのかは最終日にわかる。(もちろん日本人観光客のせいです)ホテルのすぐ下のあたりには水族館がある。たぶんここは美しき日々のロケに使われた水族館なのだが、さすがに中にははいらなかった。

さらにすすんでいくと映画館がいくつかある。ものすごい人だ。映画館の前には上映中やこれから上映される映画のパンフレットが置かれている。息子は英語を使って(こういう英語はちょっとはできるらしい)上映中の映画をチェックしていた。
「日本ではまだ公開されていないオーシャンズ12をやっている」
と感激していた。あと12月24日クリスマスの日から「ハウルの動く城」も上映される。日本のアニメはまだ韓国では規制されているはずなのだが、これが人気があるらしくってモールの中にはジブリのお店まであった。あと私が知っているところではポーラーエクスプレスも上映されていた。映画の時間を一応調べてみる。朝の8時ぐらいからオールナイトでやっているのだ。これはすごい!!映画が大好きな息子は驚いていた。


映画のパンフレット(COEXの映画館の前においてある)

パンフレットをいくつかもらってすぐ横のジブリのお店にはいる。日本のお店と同じぐらいの品揃えで賑わっていた。このお店の外にハウルの絵葉書があったのでもらってくる。omi親子はただのものはなんでももらう。さらにモールを先に進む。CDショップがあった。エバンレコードだ。息子は洋楽の方へ。私はもちろんk−ポップの方へむかう。あるある、なんとドラマのサウンドトラックのコーナーもある。フルハウスのサウンドトラック版もあった。そして去年どこにもなかった「美しき日々」のサウンドトラックもある。ここで見つけたこの日本人観光客向けのコーナーはまだ序の口だったことをこの時点ではわかっていない。今回は「ピ」のCDと台湾の流星花園2のサウンドトラック版を購入する。F4は韓国でも人気があるのか?これはF4のVCDもついていた。失敗した。1のほうも買えばよかった。息子はこれとこれと言っててなんやらCDを選んできた。とにかく選んだものを購入する。どんどん迷わないで買ってしまう母に息子は少々驚いている。だって日本ではこの値段で買えないでしょといって納得させるが、こののりに息子はまったくついていっていない。節約の鬼の母はいったいどこにいったのか状態だ。この店にはVCDはおいてなかった。DVDは少しあったが、目玉商品ではなかった。

さらにモールの奥の方に向かう。地下街はとてつもなく広い。またものすごい人の波だ。時々軍服を着た軍人さんもいる。息子はそれにはやはり目がいったようだ。
「軍人がいるんだなあ」
と言っていた。ここだと思って、一応説明しておく。韓国は戦時下ということになっているのでいつ戦争が始まってもおかしくない状態であること。(ただこういう状態には今はならないと思うが)軍人さんは休暇中でも呼び出しがかかったらいつでも軍にもどらなければならないこと。道が広いのは飛行機の滑走路に使われるため。地下街が発達しているのは砲弾からのがれることができるようにしてあるため、漢江に橋がたくさんかかっているのは朝鮮戦争の時に北から攻められて多数の人が橋を渡れずに亡くなったためと続けたが、どこまで理解してくれたかわからない。

ホテルから一番遠いと思われるところで外にでることができた。そこは広場になっておりクリスマスのイルミネーションがきれいだ。広場ではイベントがおこなわれており、ここもものすごい人だ。上をみるとホテルの建物ではないビルが並んでいる。現在位置がまったくわからない。それにものすごい寒さだ。イベントのマスコットの人形が息子に近づいてきた。それとなく避ける息子。
「何か言われたらモルラヨといえばいいのよ」
と母は言う。モルラヨというのはわかりませんということだ(と思う)。
あまりにも寒いので写真を撮ると再び中にはいった。ここから地下鉄の駅はすぐのとことだ。キョトンカードを購入しておきたかったので、駅の方に向かうが人が多すぎて断念した。途中、救世軍の歳末の募金が行われていた。

駅から近い現代デパートに行く。ここのデパ地下でお茶とのりを見ようと思ったのだ。地下のスーパー形式の売り場でのりはちょうど試食をさせてもらうコーナーがあり、口にあうのりを選んだ。一袋2000ウオン。ここで買ったのりを日本に帰ってきてから見たのだが、袋の上に買った日の日付のスタンプがおされていた。これは日本流に言えば賞味期限に相当する日付になるので、母から人にはあげないほうがいいと忠告を受けた。まさか買った日が賞味期限の日ということはないと思うので、心配はないのだがなにかややこしい。お茶のところに行ったが目的のメシル茶はなかった。センガン茶(生姜茶)とトンソ茶(とうもろこし茶)を買う。それから韓国にきたらなんといってもマンゴジュースだ。韓国で売られているデルモンテのマンゴジュースは本当においしい。なぜ日本にこれがないかといつも思う。マンゴジュースとガバジュースの1リットルボトルも買った。かなり荷物が重くなった。

スーパーの袋をかかえホテルに帰ろうとデパートをでた。しかしあまりにも広くて道がわからなくなった。ちょうどデパートの閉店時間の頃だったのだろうか。地下の入り口のところに警備の若者が何人かいたので、コンチネンタルホテルはどちらか尋ねる。最初に聞いた人はホテルがどちらかわからなかった。(これは後から知ったのだが、ここにはCOEXインターコンチネンタルとグランドインターコンチネンタルという2つのホテルがあったのだ)しかしこういう時、韓国の人は絶対に親切だ。近くのほかの警備員の人にきいてくれて、あっちだと指をさしてくれて、さらに自分が連れていってあげるというジェスチャーをしてくれた。思わず
「ケンチャナ」
と言った。こんな広いモールで道案内までさせてしまっては自分の仕事ができないじゃない。
「ケンチャナ、ケンチャナ」
と言って指をさしてくれた方に歩いていっていると、そのおにいさんがいつの間にか仲間3人と横にきている。にこっと笑って一緒に行くからというジェスチャーをしてくれた。息子は
「大丈夫かな」
と言う。こう思うのが日本人だ。しかし私も言った。
「まあみててごらん。どんなに親切かわかるから」
警備員の服を着たこの若者たちは20代だろうか。私たちとは関係なくお互い肩を組んだりして楽しそうに歩く。それを見て息子はまた言った。
「仲がいいなあ」
若者たちは大きな文房具店の中をつっきって進んでいく。また息子が言った。
「チップ要求されるんじゃないかなあ」
こんなに長い道をわざわざ私たちのために歩いてくれるというのは日本では本当に考えられないことだ。息子が信じられないと思う気持ちもわからないではないが、そう思ってしまう息子にがっかりしなければならない。
そして若者のひとりが途中で別れた後、さらに5分ほど歩き、あの水族館のところまででてきた。ここで警備員の若者はにこっとしてあっちだと指差してくれた。
「カムサムニダ」
こういう親切って言葉ではあらわせないものがある。そして心の底からこの親切に驚いた息子にはとてもいい勉強になったと思う。このような親切を受けることで自分もそうしなければならないとわかってくれればいいのだが。

ホテルの入り口の近くのコンビニに寄った。マンゴジュースはここでも売っていた。息子がなんでこんな重たいものをあそこから持ってきてしまったんだろうとぼやいていた。すでに9時近くになっている。朝から飛行機は遅れるし疲れた。部屋にはいって休むことにする。部屋にはいるともちろんすぐにテレビをつけた。ここはNHKのBS放送もはいる。同じグループの人達はこのBSで冬ソナを見たらしい。私は韓国のドラマを見ていたが、あまりストーリーもわからないまま眠ってしまった。


左:COEXインターコンチネンタルホテル
上:ホテル内のクリスマスツリー




トップページに戻る

inserted by FC2 system