キョンボックン


ソウル観光(キョンボックン周辺)

 1114日。明日帰るという日になってやっと晴れた。ソウル市内は7時頃にやっと明るくなる。8時頃に宿をでてチョンワデ(大統領官邸)のあたりを散策しようと思っていたが、待切れなくて7時半には宿をでた。まずお得意になった安国(アンコック)駅方面へ向う。ここから道路を渡り景福宮(キョンボックン)方面へ向う。朝日がビルや木々に反射して美しい。道が大きくてキョンボックンもすぐにわかった。


三清洞キル


 そこから三清洞キルを北に向ってチョンワンデに向う。この付近はソウルの紅葉の名所ということで石造りの壁と紅葉のコントラストがなんともいえず美しい。そろそろ警官に呼び止められるぞと思いながら写真をとりまくった。そしてキョンボックンの壁に沿って半分ぐらいきたところでやはり警官によびとめられた。

突然韓国語でなんとかかんとかと言われたので、
「イルボンサラミエヨ。」(日本人です)
とまず国籍を述べ、カードに書いて来た「紅葉をみに来ました」と言う文とネットで印刷してきたこの付近の紅葉情報の写真を見せた。警官は
「プレジデントハウス?オーケー。オーケー」
といい通してくれる。

朝はやい為か誰も歩いていないし、空は青いし本当に美しい。しかしチョンワデが近付くにつれて警官の数がめちゃくちゃ多くなる。写真をとろうとしたら「NO PICTURE」といわれた。大統領の家はまあしょうがないとしてもキョンボックンの壁の方の写真もだめだと言われた。このあたりは徹底している。キョンボックン側の紅葉がとても美しかったのに写真がとれなかったので、これはキョンボックンに行ってみようと急遽決めた。


チョワンデ付近 1  チョワンデ付近2

はっきりいってキョンボックンの知識は今もってあまりない。宮殿だったということだが、誰のいつの時代のものであるのかという基本的なことすら今だに知らないのである。しかしあの壁から見た紅葉はただものではない。

チケットブースに行くと9時からということで10分程そこで待っていた。切符売り場のおねえさんがピンクの上着と黒のスカートの民族衣装を着て、あたりの掃除をしていた。
「これは伝統的な民族衣装なんですか」
と英語で聞くと、
「伝統的なものではなくそれを簡単にしたものです」
と教えてくれた。しかしそのピンクがとても素敵なピンク色で
「とてもきれいな衣装ですね」
とおもわず言ってしまった。

時開門と同時に中にはいる。大勢のおじさん達が一定の間隔でならんでおり、時々行進している。朝の朝礼なのかと思うが、なんやら様子がおかしい。おじさん達を指揮しているおねえさんもテンションが高く、なんだろうと思った。勤政殿にはいろうとすると若者がすかさずよってきてはいれないという。英語でどうしたのと聞くと明日イベントがあるのでその練習をしているという。

明日か。どんなにしても無理だ。とちょっと残念だ。しかし入場料を払っているのに中が見られないとはなにごとじゃ。と韓国語で言うこともできず、裏の庭の方へ回る。裏に行く時にカメラの箱の山をみた。これってひょっとしてイベントじゃなくて映画の撮影なんじゃないのと勝手に思い、またつくづく残念だとがっかりした。

宮殿の裏手は先程、大統領官邸のあたりからみた通り紅葉が見事である。どこもかしこも赤や黄色に染まっている。しかも朝早くて誰もいないので、落ち葉がベンチに落ちている様子まで写真にとることができた。キョンボックンで今年の紅葉を堪能した後、門の方へ向って驚いた。そこには何十台もの観光バスがとまり、制服姿の高校生や小学生や一般の観光客がつめかけている。朝はやくゆっくり見られて本当に正解だった。高校生はすれ違う時、
「アンニョンハセヨ」
と声をかけてくれた。
キョンボックンを後に中央高校へ向う。



キョンボックン


 中央高校は「冬のソナタ」のドラマの中で春川の高校として使われた高校だ。場所ははっきりわからないが、キョンボックンの東側であることだけは確かだ。そこで適当にそちらの方向に歩いていく。

普通の民家が立ち並ぶ住宅街にはいる。韓国の家は日本の家と似ているのかと思っていたが、壁からして違う。ものすごく歴史があり情緒のある家並みだ。その界隈で
「チュンアンコントンハッキョオディエヨ?」(中央高校はどこですか)
と聞き捲った。あるおばさんはここをまっすぐいきなさい。というようなことを言ってくれた。ハングルでは激音といってのどの奥から息を出す発音の方法がある。それをつかってまっっすぐと言われると本当にまっっすぐにいかなくてはならない感じになる。そしてその時はその道をまっすぐいきすぎた。いったりきたりしながら最後にものすごい狭い道(もちろん車など通れない)を通り抜けると高校の門の付近にでた。

その門が見えた時は感激した。ここか。門番のおじさんに英語で中を見学していいですかと聞くと
「はいっていいよ」
というジェスチャーをしてくれる。そしてその高校のすばらしさにまた感激してしまった。まず校舎までの敷地が広い。そして石造りの校舎、レンガ造りの校舎と立派な校舎が並んでいる。もしソウルに住んでいたら絶対、息子を通わせてみたいと思うような高校だ。樹木もたくさんあり、校舎の裏手には広いグランドがあった。ため息の連続だ。

ひとりの先生らしき方が後ろから歩いていらしたので。英語で立派な学校ですねと言ったらにこにこしていた。
「ここはレベルが高いんでしょ」
と聞いたら、
「それ程でもないですよ」
みたいなことを流暢な英語で言ってくれた。まあ自分の勤めている学校のレベルが高いですよと言うことはあんまりないかと思うが、その先生のおだやかな接し方や英語の堪能なところをみると、やはり相当いい学校なんだろうなと感じられた。この先生にお礼をいい、学校を後にする。本当にここの学校には来てよかった
  

ソウル中央高校

ソウル観光(ミョンドン周辺)

 朝ごはんも食べずに歩いていたので、疲れた。学校からすぐのところにコーヒーショップがあったのでホットチョコレートを飲んだ。ソウルの街ではどこのお店でも気軽にはいれるし、このようなコーヒーショップも日本と似ている。

これから明洞(ミョンドン)にでて、眼鏡を作りたい。かなり歩き回ってもう疲れているし、地下鉄を使うと乗り換えばかりでちょっと不便だ、と思いながら大通りにでると、運よくタクシーがとおりかかった。思わず飛び乗ってしまった。
「ミョンドンカジュセヨ。」
「ミョンドンエオディエヨ?ロッテ?」
と聞かれたので
「チュンアンウチェックカジュセヨ。」(中央郵便局お願いします)
と言った。中央という単語を多く使う日だ。

ミョンドンでまずやりたいのは中央郵便局にいきそこの上の博物館から外の写真をとることだ。中央郵便局のちかくは戦前に日本が建てた建物がすこし残っている 韓国の人にとてはいろいろな思いがあるかもしれないが、その写真をやはり撮っておきたかったのだ。

タクシーの運転手さんはすぐにわかってくれて助かった。タクシーにはただで無線で通訳するサービスがありますとかかれていた。これは本当に困った時は大きな助けだ。

アンコックからミョンドンまではすぐに着いた。ロッテデパートの建物をみて『そうだデパートというものがあるんだ』と思った。何か感覚がずれていると自分でも感じた。運転手さんはロッテデパートの先で車をとめて、道の反対側を指し、
「あそこが郵便局だからそこから地下にはいっていってください」
というようなことを言った。なかなか親切な運転手さんだ。

教えられたとおりに道の反対側に行く。するとなんということか郵便局は工事中だった。そこで旧朝鮮銀行の貨幣金融博物館と旧三越の現代デパートの写真をとる。昔は観光客と見られるのがいやで、このような町中でカメラはなかなかださなかったが、もう何をやっても平気だ。人が見てようがなんであろうが、撮った者の勝ちだ。(写真に勝ち負けがあればの話しだが)

そしてすぐ近くにメガネやがあるのを見つけた。よしここで眼鏡をつくろう。

    

現代デパート(旧三越) 貨幣金融博物館(旧朝鮮銀行本店)


眼鏡やにはいっていくと
「オソオシプシオ」
といわれた。えっ日本語が通じるんじゃないの?
しょうがないと英語で眼鏡をつくりたいんですけど。と言うと金髪のおにいさんが
「どんな眼鏡にしますか」
と英語で尋ねてきた。そこで
「安いの」
とはっきり言った。そしたらひとつのケースを指し、
「ここが安いんですが」
と教えてくれた。眼鏡のふちを選びながら、
「どこからきたんですか」
とまた英語で聞かれたので
「日本です」
と答えた。するとなんと日本語で
「日本人ですか」
といいはじめた。日本語ができるんだったらはやく日本語を話してほしい。それからちょっと高いフレイムなんか見せ始めたから、
「韓国にきたんだから安い眼鏡をつくるのよ」
とびしっと言った。そして一番安いフレームをえらんだが、レンズはちょっと高いものの方がいいですよとすすめられ、結局全部で4400円の眼鏡にする。これはソウルナビという割り引きをきかせた値段だからものすごく安いとは思わなかったけど、日本にくらべれば絶対にお買得な値段だ。おにいさんに
「これにする」
と言って選んだ眼鏡を作ってもらう。なんと10分で作れるのだ。店内にはペヨンジュンの写真があって、ここの眼鏡をしている。おにいさんに
「このペヨンジュンの写真撮ってもいい?」
と尋ねると、
「あっぺヨンジュンさん知ってますか?」
と言う。あたりまえでしょ。今日本で一番人気のある韓国のスターよ。おにいさんはすごくあせって
「ちょっと待ってください」
といってカウンターの下から何かとりだした。なんとそれはカウンターにあるぺヨンジュンと同じ写真で
「これどうぞ」
と言ってくれたのだ。
「なんで。すごいじゃない。」
もうそれで私は舞い上がって眼鏡どころではなくなった。これは記念のカレンダーですけどとなにか他にもくれたけど、はっきりいってそんなものどうでもよかった。本当にこの店に来てよかった。眼鏡ができあがり、おにいさんに
「コマプスムニダ」
といい、店を後にする。おにいさんはドアのところまで送ってくれた。親切なおにいさんだった。(しかしこの何時間か後に私にはこのお店でお金を払っただろうかと疑問が生じた。まったくお金を払った記憶がないのだ。引き返すにも引き返せずそのままにしてしまったが、ひょっとしてこの眼鏡ただなんじゃないかと今でも思っている。これが眼鏡事件である)

後日、友達にこの事件のことを話したら、あんまりおかしな日本のおばさんがきたのでお金取り忘れたんじゃないって言われた。



キョボムンコ付近


 はじめはミョンドンの繁華街を見ようと思っていたが、混んでいるところにいっても大変だと思い、とりあえずロッテデパートを見ることにする。ここはまったく日本と同じだった。店員さんがものすごく多いし、お客さんも多い。売られている物も高いし、はっきりいって魅力がなかった。地下の食料品のところは混んでいるだろうし、これ以上荷物も増やしたく無かったのでいかなかった。

 そして市庁舎の方へ歩いていく。さすがにこの辺りは広々としておりイチョウの木も大きくて一段ときれいだ。市庁舎の写真をとり、裏道を通り再びキョボムンコへ向う。市庁舎の裏のあたりに郵便局があったのでそこでまた絵葉書をだす。

 そこではクリスマスカードを売っていて、それが1000ウオンと2000ウオンと安いのにもかかわらずものすごくすてきだったので枚づつ購入した。ここの担当はおねえさんではなくおじさんだったがクリスマスカードを持ってくるのにあちこち動き回っていてあまりにも大変そうだったので、
「記念切手ありますか」
と言うのを聞きぞそびれてしまった。

 キョボムンコではイルマのピアノのCDをまた買った。これだけ大きいと毎日よってもあきない。掘り出し物はないかと思ってあちこちまわったが、やはりまだ私のハングルはそこまでいっていない。この時もうお昼を随分まわっていた。まだインサドンに行っていない。

     

郵便局のクリスマスカードのパンフレット 郵便局のサービス案内の小冊子


 チョンノに戻り、インサドンの方向に歩く。

 途中、食堂にはいってピピンバプを食べた。なぜこのような辛いビビンパブに辛いキムチがつくんだろう。食堂のおねえさんは日本語で
「辛いですか」
と何回も聞いてくれた。おねえさんの心配どおり口の中がひりひり状態で最後には涙まででそうだった。とにかくおねえさんは親切であったのでお礼を言って店をでる。

 インサドンはいわゆるおみやげものやの店がいっぱいある通りだ。しかし私が期待していたようなしっとりした雰囲気ではなく本当の観光客用の通りだった。あまり買いたいものもなかったが韓紙としおりを買った。人通りも多く車の通りもおおく、本当にあまりおもしろくない。最後によった店ではバーゲンをやっており(年中バーゲンというような店)、そこで20000ウオンのジャケットを買った。それまでダウンジャケットを着ていたが、今年のソウルはあたたかくこんな厚着をしている人はいない。最後になってやっと薄いジャケットをきることができた。

 インサドンから一度宿に戻る。荷物をおいて今度は身軽にまたチョンノの店を見てまわろうと思ったのだ。あたりは暗くなりかけている。なにか明日帰るのはつらい程、この街が気に入ってしまった。

 また永豊文庫に寄る。そして最後に見つけたのは二重スパイのVCDだった。5000ウオン。まよわず買う。そして本をみているとドラマのロケ地の本が売られていた。
「これだっ」
と思ってそれも買った。14000ウオン。安くはない。でもこれはほしかった。本当に最後の最後までねばっていろいろ探してみるものだ。

 最初の日に食べておいしかったのり巻きを食べにまた屋台に行く。おばさんは
「テイクアウトする?」
と言ってくれたので、薄焼き卵でくるんだキンパブとお好み焼きのハーフを包んでもらった。そのまま地下街をまた見て、なごりおしいがチョンノの街を後にする。


韓国を後に

 次ぎの朝、飛行機は11時だったが、時半ごろ宿をでた。受け付けのおにいさんはまた毛布にくるまって眠っていた。まだ外は暗いが、道路の渋滞だけはさけたい。

 ソウルに来た時に降りたバス停から道路をはさんだ反対側のバス停で空港行きのバスをまつ。こんなところでひとりで空港に行くバスをまっているとまるで地元の人みたいだ。現にこのバスには外国人は乗ってなかった。601番のバスの運転手さんは602番のバスに乗れという。601番はキンポ空港経由なのだ。602番はすぐに来た。これでソウルもみおさめだ。外はだんだん明るくなってきた。本当に楽しい旅だったし、この年になってまたいろいろなことを知ることができた。旅行っていいなあと思う。

 インチョン国際空港にはとてもはやく着いた。出発の時間前だ。まだカウンターの案内もでていない。しばらく座っていたが、係りの人に聞いたら、コリアン航空のエコノミーの所にならべば手続きはできるのだ。しかもそこは長い列だったので、はやく聞いてよかった。あまりに長い列で後ろの黒人の人はため息をついていた。

 並んでいる途中、預ける荷物のセキュリティーチェックをしていなかったことに気付き、後ろ人に聞いたら、「列に並ぶ前に呼び止められなかったら大丈夫だよ」と言われた。しかしどこで荷物のチェックをしているんだろう。

 ようやくチケットを手にして手荷物を預け階下にある郵便局に最後の葉書をだしに行く。ここの郵便局はとても便利だ。なぜならばここで記念切手を買えるからだ。去年の記念切手のセットがありその中にワールドカップの記念切手もはいっていたのでそれを買った。やはり最後まで郵便局に行ってよかった。その後両替えをする。チャギアップスッピョはあまり使わなかったので、万円は返ってきた。

出国手続きをする時に最後に考えさせられる場面に遭遇した。アラブ人の若者がセキュリティーチェックをする時、靴まで脱がされていたのだ。私も上着を脱いでX線に通すように言われたが、さすがにこのように他の誰にもリクエストがないのにアラブ人だけに靴を脱ぐようにいっているのを見るとなんともいえない。この若者は何もいわずに靴をX線に通してもらっていた。

 手続きをすべて終えて免税品を見る。今回の旅行では本当にこの種の買物はしなかったが、母や叔母のおみやげをここで買った。インチョンの免税品店は大きくてきれいで充実している。しかし私には結局あまり関係のないところだという感じもした。

 飛行機はまたウインドウサイドをリクエストしておいた。飛行機が飛び立つとすぐに大きな街が見えてきた。川がながれていて橋がいっぱいかかっている。『ああ、ソウルの街だ』ソウルタワーも見える。本当は航空写真はとってはいけないのだが、思わず撮ってしまった。ソウル、ソウルまた来られるかな。

      

ソウル市内―上空から  韓国東部の山なみ


飛行機は日本に向って飛び続ける。韓国の雪をかぶった山がみえ、その後日本海がみえてきた。隣のおじさんはなんやら一生懸命写真付きのメモをとっている。何をしているのかきくと、旅行のたびにそのような記録をつけているそうだ。今回は何人かのグループで韓国に来られたそうだが、おじさん自身はもう韓国は20回以上行かれているということで、年に7、8回は海外旅行をするというリッチな方であった。ソウルは桜の頃もまたいいですよというおじさんの一言が耳にこびりついてしまっている。飛行機は琵琶湖の上空を通り、まもなく成田に到着した。




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