カオルーンサイドから香港島を望む

香港へ行こう

父が80歳になった。その記念に香港に旅行に行くことになった。
香港は主人の仕事の関係で8年住んでいた土地である。私達が滞在中に両親は何回も香港に来た。母がいうには香港は世界で一番いい都市で、またとても懐かしいということだ。この香港旅行はもともとは去年予定されていたのだが、サーズが流行してしまった。秋には下火になっていたのだが、両親とも香港に行くことをためらっていたので、ここまでのびのびになったのだ。香港がいやなら韓国に行こうと誘ったのだが、特に母は香港がいいと言い張る。父の誕生日という名目のもと母の思いと私の思いが錯綜し、今回の旅行で双方の合意がなされたのだ。この双方の中には当事者の父がはいっていないのがなんともいえない。

私の頭の中は去年から韓国モードにすべて変換されているので、香港に頭を切り替えるという作業は大変なものがあった。友達が香港のおみやげに韓国のドラマのCDをくれたのだが、それがとてもよかったので、香港で韓国のCDを買おうという、かなり屈折した思いで今回の旅行に臨むことになる。


6月4日、西馬込537分発の日本医科大行きという電車で青砥まで行き、そこから成田空港行きに接続する。成田10時発の便にのるために8時ごろの集合となる。それに間に合うようにするためにはこの電車が一番安く楽な方法だ。両親は朝早いのは大丈夫ということでこの電車を使ったが、さすがに朝はやくまだ息子たちも出かける前だったので、私はばたばたして家をでた。この都営線から京成線への接続は息子が上海に行ったり、イギリスに行ったりした時にも使ったがそのたびに混んでいた。(この時はあわや青砥から成田空港まで立つところだったー実際に息子の友達は前の方の車両でずっと立っていった)まさか青砥からずっと立ったまま高齢の父を連れていくわけにいかずどうしようか考えてみたが、結局、便利ということでこの電車を使った。しかしこの時は学校の休みの期間ではなかったためにすいていた。

今回の旅行はJTBのツアーで2泊3日、ホテルと飛行機を選べるものにした。ホテルは以前香港に住んでいた時のフラットに近い、金鐘(ガムチョン)で選ぶ。金鐘のワンパシフィックプレイスというショッピングモールに隣接するホテルは3つ。そのうちのコンラッドホテルを選んだ。飛行機はまず午前便を選び、日本航空かキャセイかということだったが、安い方のキャセイにする。

キャセイの成田空港のカウンターは第一ターミナルだ。そこの一番奥のJTBのカウンターに行き、チケットをもらう。スーツケースは前日にABCで成田に運んでおいたのでそれを受け取り、キャセイのカウンターでチェックインをした。はじめは機内の真ん中の席だったのだが、「年寄りがいるから窓際にしてください」とウィンドウサイドに変えてもらう。まあ年寄りがいなくても飛行機は窓際と決めているので、必ず言う言葉なんだけど。前日にキャセイのマイレージにはいってプリンターで仮の会員証をつくり、それでマイレージがつくかと聞いたけどつかないとのことだった。ツアーでマイレージがつくのは少ない。でも必ず日本航空などでも聞いてみる。もしOKだったらもうけものだ。



 

香港島の新しい地下鉄路線計画パンフレット


チェックインをすませるとそれからが長い。自分だけだとハンバーガーでも食べるのだが、両親はそうはいかない。レストランのモーニングメニューを頼んでまずは朝食だ。私の両親は高齢であるにもかかわらず、これまでのところ健康だ。その理由のひとつはきちんと食事をしていることにあると思う。朝食も私はコーヒーとパンでよかったが、両親はちゃんと卵料理をつけた。

母はこの第一ターミナルが懐かしいと連発する。昔、私達が香港に住んでいたころまだ第二ターミナルができておらず、すべての便がここからの出発だった。ここにおすし屋さんがあったはずとかなんちゃらかんちゃらえらく詳しく覚えている。

 しかし私は本当にここから出発したことがあるのだろうかと思うほど何も覚えていない。18年前に主人が香港に赴任したときは本当に大変だった。上の息子がまだ1歳だった。今でも大変だが、当時は想像を絶するぐらい大変な子だった。そしてこの2年後には下の息子が生まれた。この子は3ヶ月になる前に飛行機にのせた。この2人の息子たちが常に私のそばにいたのだから、そんな空港のことなんか覚えているはずはない。飛行機で覚えているのはどうやってミルクのお湯をもらうかとかおむつをもらうかとか、どこの席がベッド付かとか、どうやって子供を静かにさせるかということだけだ。もちろん空港で買い物もしたことはない。

 何年か前に香港に行った時、飛行機に乗り込む若いおかあさんが上の子の手をひいてまだ本当に小さな下の子を抱っこして飛行機に乗り込んでいたが、その光景がいまでも一番懐かしさを感じるものである。両親と私の香港に対する感じ方の違いが出発の前からわかったような気がした。



香港の映画ガイド(空港でもらえる)


CX504は定刻、10時に出発。キャセイに乗るは本当に本当に久しぶりだ。

 まずものすごく昔と変わったというところは個人の席にビデオの画面がついていることだ。それから昔ほど、食事に力をいれていない。お手拭もペーパータオルだし、(昔は飛行機にのるとまずおしぼりが配られました)フォークやスプーンも使いすてのものだ。私は食事よりもビデオが見られ方がいいのだが、両親はこの食事には不満だったようだ。

 キャセイでは食事の後にハーゲンダッツのアイスクリームがでる。種類は行きも帰りもストロベリー、コーヒー、チョコレートだった。どうしてバニラがないかちょっと不思議だ。行きはこちんこちんの氷河のようなアイスでしばらく食べられなかったが、帰りはちょうどいい硬さだった。クルーの気の使いかたでこのように変わってくるのだと思う.やっぱあまり硬いのをだされても疲れるわ。

ビデオでは本当にたくさんの映画をやっている。ただ日本語の字幕がついているものはなかったようだ。行きは邦画の「最後の恋、初めての恋」帰りは韓国映画の「氷雨」をみた。両方とも中英文の字幕がついた。ここでわかったのだが、韓国映画に英語の字幕がつくと韓国語ができなくてもある程度理解できる。この2つの映画はどちらもおもしろかった。

 ただこの映画にたどりつくまでが大変な作業だった。機内誌をひっくりかえし読みながら、リモコンをいじり、それでも訳がわからず何度やり直したことか。いらいらとやりなおしている時間にも両親はこの画面はどうやってだすのか聞いてくる。両親はこのような機械類は放棄している。あまり年寄り向きのサービスではないかもしれない。結局、この操作で最後にわかったのは機内誌の説明と本体は若干違うところがあるということだった。本当に参考書がほしいわ。

香港でKさんという方がやっているお店に寄らせてもらった。彼女は昔、キャセイのスチュワーデスだったのだが、このビデオの操作の仕方がわからず、
「飛行機は初めてですか」
と言われたそうである。ついでに彼女の話によると今は日本人のスチュワードもたくさんキャセイに搭乗しているそうだ。

キャセイの難点をひとつ言うとするとこのビデオは始まる時間と終わる時間が決まっていて、そのとき寝ていたらビデオを見逃すことになるということだ。いつでも好きな時間に見れるように改善していただければありがたい。(まあそんなに頻繁に乗るわけではありませんが)

 ビデオをみた後は音楽を聞いた。これも25局あり国内の一般のラジオより多くの選択ができる。日本、韓国、マレー、タイなどのヒット曲のチャンネルもある。もちろんKorean Music Boxを聴いた。

香港へ到着

 そうこうしているうちに飛行機はチェクラップコク香港国際空港に着いた。ここの空港は本当にきれいだ。しかし私は慣れ親しんだカイタックの方が好きだった。飛行機のタラップをおりるとぷーんと匂ってくる香港のにおいと、もわ〜とした湿気が新空港にはない。

入国審査を終えてサーズ予防のための熱の検査というのも受けて(これは帽子をとってただ歩くだけだが、熱がある人はチェックされるらしい。)到着ホールにでるとJTBの案内の方がいた。

「まだ全員そろっていないので、ちょっと待っていてください。」

と言われたのですぐに空港内のセブンイレブンにいき、飲み物を買っておいた。香港は暑い。しかもホテルの冷蔵庫の飲み物は高い。そんなときにこのセブンイレブンは助かる。今回は両替は日本で済ませておいた。もちろん利率はよくなかったが、忙しい旅だし土曜日、日曜日がかかるので、そのほうが楽だろうと思ったのだ。



空港内の看板

左は携帯電話の広告
モデルは韓国の女優、チョンジヒョン



JTBのおじさんは私たちを含め3組の客をミニバスに乗せ、市内に向かった。ランタオ島にある空港から市内までは約40分。昔のカイタックより遠くなったとはいえ、成田に比べるとずっと近い。空港の近くは大きなフラットがたくさんできており、ここもまた開発されているのだと思った。この空港の反対側に現在ディズニーランドが造られており、そのためにこのようにフラットがたくさんできているらしい。

 ランタオ島から九龍半島へつながる橋はものすごく立派だ。昔、シンセンとの国境の近くまで行った時に初めてつくりはじめていたこの橋をを見た時は感動した。上が一般の道路、下は電車が走るようになっている。それを渡りしばらくすると香港島の大きなビル群が見えてきた。一番新しい海底トンネルを抜けてマカオフェリー乗り場よりも西側から香港島にはいる。上環(ションワン)、中環(チュンワン)を抜けていく。中環に建てられていくつかの大きなビルをのぞいてはスターフェリー乗り場やマンダリンホテルなど昔のままだ。金鐘(ガムチョン)のワンパシフィックプレイスが見えてきた。ここは大きなショッピングモールになっており、その中に映画館やデパート、レストラン、そして3つのホテルがある。中環からワンパシフィックプレイスにはいって行く道もそのままで時間がたっているのを忘れてしまうようだ。コンラッドホテルに到着。



空港から市内に行く途中見えた建設中のフラット




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